劇作家ピーター·シェーファーによる
明暗が逆転した異色作
『ブラック・コメディ』は、英国の著名な劇作家で『アマデウス』や『フォロー・ミー』など映画化された作品も秀逸なピーター·シェーファーによって生み出された戯曲です。1965年にロンドンで初演され、その後世界各地で上演。日本では1970年に劇団四季で初演されました。物語は、売れない若手彫刻家が留守中の隣人宅から数々の調度品を無断で借用し、婚約者の父親と億万長者の美術蒐集家を招き、さも自らの作品かのように仕立てることで愛と富を手に入れようと画策します。しかし、予期せぬ停電がアパート全体を襲い、招かれざる客も次々と訪れ、暗闇の中でトラブルへと発展していきます。ピーター·シェーファーは劇中、室内の電灯がついている設定のときは舞台上を暗く、停電の設定のときは舞台上を明るくするという、明暗が逆転したユニークな手法で表現することで、停電中のパニックを視覚的に際立たせるとともに、登場人物たちの隠された本音や嘘を表出させることに見事に成功しました。
そしてこの度、この戯曲に上演台本・演出として挑むのはヨーロッパ企画の大歳倫弘。長年、同劇団の主宰である上田誠の演出助手を務める一方、自らも映像や舞台の話題作で作家、演出家として活動する大歳が、この型にはまらない異色作にどのように立ち向かうのか。その手腕にぜひご注目ください。
実力派キャストが揃い、
個性あふれる役でトラブルに巻き込まれる!
愛する女性と富を一挙に手に入れるため画策する、主人公の若手彫刻家ブリンズリーを演じるのは浜中文一。婚約者キャロルには市川美織、ブリンズリーの元彼女クレアには三倉佳奈。ブリンズリーの隣人で東洋古美術商人のハロルドには山口森広。アパートの上階に住む女性ミス・ファーニヴァルには朝海ひかる。キャロルの父親で厳格な性格のメルケット大佐には渡辺いっけいと、実力派キャストが揃いました。突如アパートを襲った停電による「ブラック=暗闇」と、そこに浮かぶ一癖も二癖もありそうな登場人物たち。果たしてどんなトラブルが舞台上で繰り広げられるのか、ぜひご期待ください。